クマによる被害が全国で相次ぐ中、2025年度、クマに襲われて死亡した人の数が12人に上り、これまで過去最多だった2023年度の6人から2倍になったことが分かりました。
環境省は、秋田県秋田市で10月27日に遺体で見つかった女性について、クマに襲われて死亡したものと認定し、今年度、クマによる死者数が12人に上ったと発表しました。
これまで過去最多の死者数だったのは、2023年度の6人でしたが、今年度は2倍の数となっています。
クマによる被害が相次いでいることを受け、政府は、これまで開催していた関係省庁連絡会議を関係閣僚会議に格上げし、今後の対策を検討する方針です。
この記事では
などについてまとめています。
2025年熊被害はなぜ増加した?
2025年のクマ被害が増加している主な理由は、ブナやドングリなどの主食となる木の実の不作で餌不足になっていること、過疎化による耕作放棄地の増加で里山と生活圏の境界が曖昧になっていること、そして人馴れしたクマが増えたことです。
主な要因
- 餌不足:
- 秋の冬眠前の時期、クマは大量の餌を必要とします。
- ブナやドングリなどの堅果類が凶作だった地域では、餌を求めて山から人里へ降りてくるケースが増えています。
- 人間とクマの生息域の重複:
- 過疎化や高齢化により、耕作放棄地が増加し、クマが身を隠しやすい環境が広がっています。
- 山林と人里の境界が不明瞭になり、クマが人々の生活圏に進入しやすくなっています。
- 生ごみや農作物など、人里で容易に餌を見つけられるようになったことも、出没を助長しています。
- 人馴れしたクマの増加:
- 積極的な駆除が減ったことで、人間を怖がらないクマが増加しています。
- クマは学習能力が高く、「人間は逃げる」「人里に楽に餌がある」と学習することで、人里への出没を繰り返すようになります。
- 「アーバンベア」と呼ばれる、人里に出没するクマが増えている状況です。
2025年熊被害 政府の対策と自衛隊の支援
NEWS JAPANによると、日本でクマによる被害が急増し、国内で不安が高まるなか、政府はクマの駆除に向けてハンターを募集する計画を立てている。30日には、「クマ被害対策等に関する関係閣僚会議」が初めて開かれ、数々の施策が提案されました。
日本政府は2025年9月、住宅地に侵入したクマを駆除しやすくするため、鳥獣保護管理法を改正しています。
環境省は、住宅地に迷い込み人を襲っているクマへの対応として、狩猟免許を持つ人や、その他の人員を雇用するための予算を確保する方針を示しました。
政府は、クマを公共の安全に対する深刻な脅威と位置づけており、警察に対し、ライフル銃を使用したクマの駆除を認める方向でも検討を進めています。
また秋田県からの要請を受け、自衛隊をクマ駆除の後方支援に派遣すると発表しました。
日本には2種類のクマが生息しています。本州などに分布するニホンツキノワグマと、北海道に生息し、より大型で攻撃的とされるエゾヒグマです。
クマによる攻撃で死亡した人は、今年すでに12人に上り、2000年代に記録が開始して以来で最多となりました。犠牲者には、北海道で新聞配達をしていた男性や、岩手県で自宅の庭で死亡しているのが発見された67歳の男性などが含まれています。
また、クマによって負傷した人は100人を超えており、その中には、世界遺産に指定されている岐阜県・白川郷のバス停で襲われた外国人1人も含まれています。
クマがスーパーマーケットや学校に侵入して人を襲うなど、住民の日々の暮らしを脅かす事例も確認されおり、クマの問題は東北地方で山岳地帯を多く抱える岩手県や秋田県で顕著です。
小泉進次郎防衛相は10月31日、秋田県から要請を受けた自衛隊の支援について、「実施場所、輸送要領などを調整している。協力し得るものから速やかに実行に移していく」と述べています。
一方で、「防衛省・自衛隊の本来任務は国防で、無制限にクマ対策は実施できない」とも。
日本の現行法では自衛隊員が武器でクマを駆除することは難しいものの、わなの設置や死骸の解体処理などでハンターを支援する方向で調整が進んでいるようです。
まとめ
- 2025年9月、住宅地に侵入したクマを駆除しやすくするため、鳥獣保護管理法を改正
- 自衛隊はわなの設置や死骸の解体処理などでハンターを支援する方向
- 熊被害増加の要因は、過疎化や高齢化、熊野人馴れ、餌不足など複数の要因が存在

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